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トピックス 中間利息控除
(1) 中間利息控除とは
年収600万円のAさんが交通事故の後遺症で寝たきりになり3年間全く働くことができなくなった場合,(実際には考えにくいケースですが説明をわかりやすくするため事案を簡潔にしています。)交通事故がなければ得られていたであろうAさんの利益(『逸失利益』(いっしつりえき)といいます。)はいくらに
なるでしょうか。
Aさんは3年間全く働けず,その期間の収入が得られなくなったわけですから,
Aさんは本来将来3年間にわたって取得するはずの600万円を現在取得することになります。Aさんは現在取得した金銭を将来3年間にわたって利殖することができるのですから,その取得可能な利息分は控除しなければなりません。これを中間利息控除といいます。
5%1年複利計算で利息を得られるとして中間利息控除をしてAさんの逸失利益を計算すると,
Aさんは3年間全く働けず,その期間の収入が得られなくなったわけですから,
600万円×3年=1800万円
として1800万円の逸失利益が発生すると考えられそうですが,実際はそうではありません。Aさんは本来将来3年間にわたって取得するはずの600万円を現在取得することになります。Aさんは現在取得した金銭を将来3年間にわたって利殖することができるのですから,その取得可能な利息分は控除しなければなりません。これを中間利息控除といいます。
5%1年複利計算で利息を得られるとして中間利息控除をしてAさんの逸失利益を計算すると,
600万円×2.7232=1633.92万円
となり,Aさんには約1634万円の逸失利益が発生することになります。(この2.7232が具体的に何を意味するのかについては後ほど説明します。)(2) ライプニッツ方式とホフマン方式
Aさんの中間利息控除について,もう少し踏み込んで説明します。
Aさんの将来3年間にわたる年収600万円は5%1年複利による利息を含んだもののはずです。
つまり,Aさんの将来3年間の年収は

という式でそれぞれ表されることになります。

したがって,Aさんの将来3年間の年収の現在価値(X)はそれぞれ

と表されることになり,Aさんの将来3年間の年収の現在価値の合計は
X1+X2+X3=1633.9…
となって,約1634万円であることがわかります。
Aさんの年収600万円というケースを前提に計算してきましたが,
今度はn年後の年収を1として将来3年間の年収の現在価値を計算するとどうなるでしょうか。


そこで,将来3年間にわたる年収の現在価値は,以下のようになります。
X1+X2+X3=2.7232…
この2.7232という数字はどこかで見たことがあることにお気づきでしょうか。
そうです。先ほど5%1年複利計算で利息が得られるものとして中間利息控除をしてAさんの逸失利益を計算した際に,Aさんの年収に掛けた数字です。
2.7232は将来3年間の年収を1とした場合の現在価値ですから,年収が600万円ならこの数字に600万を掛ければ,将来3年間にわたって年収600万円が得られる場合の現在価値が算出されます。年収が450万ならこの数字に450万を掛ければ,将来3年間にわたって年収450万が得られる場合の現在価値が算出されることになります。
この2.7232のように複利計算で中間利息控除を行い現在価値を算定するために乗じる数値をライプニッツ係数といい,複利計算で中間利息控除を行う方式を俗にライプニッツ方式といいます。(一般の方向けの交通事故の本でもライプニッツ係数一覧表が記載されていることが多いと思いますのでよかったら確認してみて下さい。)
これに対して,単利計算で中間利息控除を行う方式をホフマン方式といいます。ホフマン方式に比べてライプニッツ方式のほうが控除される利息が多くなるため,被害者に不利となります。
例えば,先ほどのAさんのケースだと,ライプニッツ方式によるとAさんの逸失利益は1634万円であるのに対し,ホフマン方式によると約1639万円となります。なんだ5万円くらいしか違わないじゃないかと思われるかもしれませんが,それは労働能力喪失期間を3年間と短く設定しているからです。Aさんの労働能力喪失期間を30年として中間利息控除し逸失利益を計算すると,(参考までに,交通事故損害賠償において就労可能年数は67歳までの期間を原則とし,高齢者の場合は平均余命の2分の1までの期間として計算します。)ライプニッツ方式によると約9224万円,ホフマン方式によると約1億818万円となり,約1594万円の差が出ます。
もっとも,現在,裁判所においては,ほぼライプニッツ方式が採用されているといっていいです。
Aさんの将来3年間にわたる年収600万円は5%1年複利による利息を含んだもののはずです。
つまり,Aさんの将来3年間の年収は

という式でそれぞれ表されることになります。

したがって,Aさんの将来3年間の年収の現在価値(X)はそれぞれ

と表されることになり,Aさんの将来3年間の年収の現在価値の合計は
X1+X2+X3=1633.9…
となって,約1634万円であることがわかります。
Aさんの年収600万円というケースを前提に計算してきましたが,
今度はn年後の年収を1として将来3年間の年収の現在価値を計算するとどうなるでしょうか。


そこで,将来3年間にわたる年収の現在価値は,以下のようになります。
X1+X2+X3=2.7232…
この2.7232という数字はどこかで見たことがあることにお気づきでしょうか。
そうです。先ほど5%1年複利計算で利息が得られるものとして中間利息控除をしてAさんの逸失利益を計算した際に,Aさんの年収に掛けた数字です。
2.7232は将来3年間の年収を1とした場合の現在価値ですから,年収が600万円ならこの数字に600万を掛ければ,将来3年間にわたって年収600万円が得られる場合の現在価値が算出されます。年収が450万ならこの数字に450万を掛ければ,将来3年間にわたって年収450万が得られる場合の現在価値が算出されることになります。
この2.7232のように複利計算で中間利息控除を行い現在価値を算定するために乗じる数値をライプニッツ係数といい,複利計算で中間利息控除を行う方式を俗にライプニッツ方式といいます。(一般の方向けの交通事故の本でもライプニッツ係数一覧表が記載されていることが多いと思いますのでよかったら確認してみて下さい。)
これに対して,単利計算で中間利息控除を行う方式をホフマン方式といいます。ホフマン方式に比べてライプニッツ方式のほうが控除される利息が多くなるため,被害者に不利となります。
例えば,先ほどのAさんのケースだと,ライプニッツ方式によるとAさんの逸失利益は1634万円であるのに対し,ホフマン方式によると約1639万円となります。なんだ5万円くらいしか違わないじゃないかと思われるかもしれませんが,それは労働能力喪失期間を3年間と短く設定しているからです。Aさんの労働能力喪失期間を30年として中間利息控除し逸失利益を計算すると,(参考までに,交通事故損害賠償において就労可能年数は67歳までの期間を原則とし,高齢者の場合は平均余命の2分の1までの期間として計算します。)ライプニッツ方式によると約9224万円,ホフマン方式によると約1億818万円となり,約1594万円の差が出ます。
もっとも,現在,裁判所においては,ほぼライプニッツ方式が採用されているといっていいです。
(3) 5%1年複利による中間利息控除の問題点
5%1年複利による中間利息控除は,現実に5%1年複利による利殖が可能でなければ,将来の収入の現在価値を正確に表したものとはいえません。しかし,
現在,銀行の定期預金の金利ですら年利1%を切っています。この低金利に改善が見える兆しもどうやらありません。このような低金利時代に5%1年複利で利
殖をすることがはたして可能なのでしょうか。5%1年複利による中間利息控除は利息を控除しすぎなのではないでしょうか。
このような問題意識から中間利息控除率が裁判で争われ,かつては地裁・高裁レベルですが5%を見直す判決も見られました。しかし,最高裁判所は,平成17年6月14日判決で,中間利息控除率を5%とする判断を示し,中間利息控除率の問題は一応の終結を見ました。
もっとも,この最高裁判例は単利計算で中間利息控除を行うホフマン方式を否定しているものではありません。(詳細は省略しますが,同判決はホフマン方式との整合性がむしろ高いものであると考えています。)これ以後の最高裁判例でもホフマン方式を許容しているものがあります。
複利計算で中間利息控除を行うライプニッツ方式では控除される利息が多すぎ,正確な損害算定からあまりにもかけ離れてしまいます。裁判実務はともかくとして,ホフマン方式により中間利息控除を行うことが妥当であると当事務所は考えています。
このような問題意識から中間利息控除率が裁判で争われ,かつては地裁・高裁レベルですが5%を見直す判決も見られました。しかし,最高裁判所は,平成17年6月14日判決で,中間利息控除率を5%とする判断を示し,中間利息控除率の問題は一応の終結を見ました。
もっとも,この最高裁判例は単利計算で中間利息控除を行うホフマン方式を否定しているものではありません。(詳細は省略しますが,同判決はホフマン方式との整合性がむしろ高いものであると考えています。)これ以後の最高裁判例でもホフマン方式を許容しているものがあります。
複利計算で中間利息控除を行うライプニッツ方式では控除される利息が多すぎ,正確な損害算定からあまりにもかけ離れてしまいます。裁判実務はともかくとして,ホフマン方式により中間利息控除を行うことが妥当であると当事務所は考えています。


